多数決を疑う 社会的選択理論とは何か(本)
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#本
坂井豊貴
#社会選択理論
#読書メモ
1章
ナウルの例,ダウダールルール
順位を書いてもらい,1位に1点,2位に1/2点,n位に1/n点を割り振り,総計する
他方多数決
1位に1点,それ以外には0点
2000年アメリカ大統領選
ブッシュ, ゴアが競っており,ゴアが勝つだろうと見込まれていた
ネーダーが第三候補としてゴアの票を食ってしまった
結果ブッシュが当選
集約ルール
多数の人間の意見を一つにまとめるルール
多数決の集約ルールは本当に性能が良いのか?
スコアリングルール
候補者に順位ごとに点を割り振る投票一般
ボルダルールはスコアリングルールの特殊例である
採用例
ナウル
ボルダルール
ジャン=シャルル・ド・ボルダ
ペア敗者
候補者全員でペアを作ると必ず負ける候補者
ペア敗者は選ぶべきではないのでは
候補者がn人なら1位にn点,2位にn-1点,n位に1点を割り振る
これ以外にペア敗者を決定する方法はない
自由に点を割り振ると結果的に多数決と同じ,あるいはよりひどい結果になりうる
スロベニアの民族議員2名の選択法
キリバスの2002年までの大統領選にはボルダルールが使われていた
これには問題があった
ボルダルールのクローン問題
組織力が高く,候補を複数選べるなら,何人かの候補者クローンを作って当選者を独占できる
是認投票
何人かの候補者にマルまたはバツをつけて,よりマルを獲得した候補者(複数)を選ぶ
社会的選択・厚生学会では会長を是認投票で決定している
2章
コンドルセ
ボルダルール及びスコアリングルールの批判
コンドルセルール
ペア勝者による選択
つまりペア敗者の逆,どの候補者のペアで勝ちを収める候補者
Condorcetのパラドックス
ペア勝者あるいはペア敗者が存在しない,候補者どうしの順位が循環してしまう
コンドルセの方法
正当である可能性が低いものを一個削除して循環を切る
候補者が3なら良いが,4以上だと説明が困難
ペイトン・ヤングの最尤法による考察
コンドルセ・ヤングの最尤法
マルケヴィッチの反例
集約ルール次第で候補者の選び方が全く異なる
はたして本当に民意か?
棄権のパラドックス / 棄権防止性
3章
陪審定理
多数決において
1. 真偽を正しく判定できる確率$ vが$ 0.5 \leq v
2. 各々の陪審員の$ vは独立
十分な数の陪審員がいれば,真偽の判断の最終的な正確さは大数の法則より$ 1に近づく
ルソー, 社会契約論 4.2
人民集会に法案がかけられたとき,人民に問われているのは,彼らがそれを認めるか否かではなく,法案が一般意思に合致するか否かである
SnO2WMaN.icon
法案の可否が投票結果(多数決)が自分の意と異なった
これは自分が一般意思の判断を見つけ損なったということになる
法案に従うことは
服従ではない
多数派が見出した一般意思の判断に従うことである
他方,一般意思は自らの意思でもある(一般意思は各々自らの精神に見出すものだから)
したがって,法に従うこと=一般意思の判断に従うこと=自ら定めた法に従うことの図式ができる
そうか?
道徳的自由,市民的自由,自然的自由
代表民主制と一般意思の噛み合わなさ
Ostrogorskiのパラドックス
代表民主制と直接民主制で結果が真反対になってしまう反例がある
SnO2WMaN.icon
ここまで読んで要するに多数決の意味論みたいなものとして一般意思を据えている本なのかと思った
4
中位ルール
ダンカン・ブラックによる発見
SnO2WMaN.icon ここはゲーム理論的っぽい
単峰性
戦略,つまり自分の意見を戦略的に偽らなくとも,正直に投票するほうが良い集約ルール
エルヴェ・ムーランによる
単峰性が成り立つとき,耐戦略性と他のいくつかの自然な条件を満たすものは中位ルールとその類型しかないことを証明
棄権防止性もある
Arrowの不可能性定理
二項独立性と満場一致性を満たす集約ルールは独裁制(社会選択理論)のみである
ここでの独裁制(社会選択理論)とは
投票集団の中に独裁者がいて,その人間が言った順序がそのまま集団付けの総意になることである
二項独立性
選択肢全体の順序はペアの比較によってのみ決定される
SnO2WMaN.icon Array.sort()?
本の例ではXとZを入れ替えた結果XとYが逆転してしまった,これは違反である
XとZを入れ替えた影響はXとZの順位だけに関わるべきである
満場一致性
全員がYをXより上位とするなら,集約ルールの上でもYをXとする
およそほとんどの集約ルール,独裁制ですら満たす
村上泰亮の不可能性定理
二項独立性を満たす集約ルールは独裁制(社会選択理論)か逆独裁制のみである
逆独裁制とは
投票集団の中に逆独裁者がいて,その人間の順序の逆が集団の順序付けの総意になる
Arrowの不可能性定理はこれから逆独裁制を取り払うものである
Gibbard–Satterthwaiteの定理
満場一致性と耐戦略性を満たす集約ルールは独裁制(社会選択理論)のみである
ダンカン・ブラックの実証政治理論
コンドルセ流の熟議効果
選択肢を何を根拠に順序付けするかという点では合意が発生する
メタ合意
メタ合意が取れない(取るべきではない)ときもある
候補同士の順位が循環しないように,かつ満場一致の条件を緩めるとして,下限(最低は50%)の多数決はどこなのか?
64%多数決ルール
アンドリュー・カプリンとバリー・ネイルバフによる
およそ63.2%以上なら循環しない
5.
都道328号線問題から立法と法執行についての問題について論じる
メカニズムデザイン
フリーライドを避け,人々のニーズを正しく把握してそれに見合ったサービスを提供する制度を作ろう
という経済学の一分野
クラークメカニズム
耐戦略性がある,つまり正直が最善の策になりやすい
周波数オークションなどで採用
読書案内
社会的選択理論への招待 投票と多数決の科学(本)
社会選択理論の数理的な証明諸々について
メカニズムデザイン 資源配分制度の設計とインセンティブ(本)
マーケットデザイン 最先端の実用的な経済学(本)
メカニズムデザイン,周波数オークションなどについて